予防歯科の第一歩!正しいブラッシングと歯ブラシの選び方・磨くタイミングを徹底解説

2025年06月22日
将来も健康な歯を保ちたい――そう考えるなら、毎日のブラッシングこそが予防歯科の第一歩です。
虫歯や歯周病を防ぐためには、ただ歯を磨くだけでは不十分。自分に合った歯ブラシを選び、適切なタイミングで正しい方法で磨くことが大切です。
本コラムでは、予防歯科の基本となるブラッシングのポイントを中心に、歯ブラシの選び方や磨くタイミングまで丁寧に解説します。今日から始められる、正しい歯のケアを見直してみませんか?
正しいブラッシングのポイント
予防歯科の基本は、毎日の歯磨きにあります。ただ「なんとなく」磨いているだけでは、汚れを落としきれなかったり、磨き残しが生じてしまったりすることも。
ここからは、効果的に歯を磨くためのコツについてご紹介します。日々のブラッシングを見直して、虫歯や歯周病のリスクを減らしましょう。
磨く順番を決めておく
歯磨きでは、磨く場所の順番を決めておくことで、磨き残しを防ぐことができます。
毎回同じ流れで磨くようにすることで、どこを磨いたか忘れにくくなり、効率良く全体をきれいにできます。特に奥歯の奥歯の内側は、磨き残しが多くなりやすいため、意識的に順番を守ることが大切です。
場所によって磨き方を変える
歯の生え方や位置、角度によって、歯の磨きやすさは異なります。歯と歯ぐきの境目、奥歯の噛み合わせ面など、それぞれに合った磨き方を使い分けることで、より効果的なブラッシングをしましょう。
バス法
バス法は、歯と歯ぐきの境目に歯ブラシの毛先を45度の角度で当て、小刻みに歯ブラシを振動させて磨く方法です。歯周ポケットに歯ブラシの毛先が入りやすく、歯周病の予防や改善に効果的な磨き方です。歯ブラシの毛先が歯と歯ぐきの境目から離れないように、意識して磨きましょう。
スクラビング法
スクラビング法は、歯に対して直角に歯ブラシの毛先を当てて、小刻みに動かして磨く方法です。咀嚼面や奥歯の裏側の清掃にも適しています。
フォーンズ法
フォーンズ法は、歯ブラシの先端を歯に直角に当てて、大きく円を描くように動かして磨く方法です。歯の表面や歯と歯ぐきの境目を磨くのに適しており、歯肉炎の予防にもつながります。
ただし、いくつか注意点もあります。力を入れすぎると歯ぐきを傷つけてしまったり、大きく動かすと毛先が寝てしまって清掃効果が低くなったりするため、歯ブラシを軽く持つことを意識して磨きましょう。
追加でオーラルケアグッズを活用する
歯ブラシに加えて、清掃補助用具を活用することもオーラルケアには欠かせません。特に、歯と歯の間は虫歯や歯周病が起きやすい場所であるため、歯間ブラシやデンタルフロスを使ってしっかりケアしましょう。
また、年齢によって歯のケアのポイントも変わります。お子さまの場合は仕上げ磨きやフッ素ケア、高齢者の場合は歯ぐきのケアや誤嚥予防・誤嚥性肺炎予防も大切になります。ご家族に適したケアがわからない場合は、かかりつけの歯科医院にご相談ください。
自分に合った歯ブラシの選び方
正しいブラッシングのためには、自分に合った歯ブラシ選びも不可欠です。歯ブラシ選びのポイントは以下の3つです。
●毛の硬さ
●毛先の形状
●ヘッドのサイズ
毛の硬さは歯ぐきの状態に合わせて選びましょう。硬さには「かため」「ふつう」「やわらかめ」の主に3種類に分かれており、特に口腔内に問題がなければ「ふつう」を選ぶとよいでしょう。
「かため」の歯ブラシを選んでも構いませんが、歯の表面や歯ぐきを損傷するリスクがともないます。一方、「やわらかめ」の歯ブラシは口腔内を傷つけにくいものの、長めに時間をかけて丁寧に磨くことが必要です。
毛先の形状は、大きく「先細」「水平」「円状」の3つのタイプに分かれます。円状・水平のものは均一に磨けるため、歯の表面のブラッシングに適しています。先細タイプは歯と歯ぐきの境目の汚れの除去に向いており、歯周病が心配な方におすすめです。
ヘッドのサイズは、奥歯までしっかり届くように、小さめのものを選ぶとよいでしょう。特に、男性よりも女性の口腔内は狭いため、小さいものがおすすめです。
また、歯ブラシは約1ヶ月を目安に交換しましょう。毛先が開いてきたら、たとえ1ヶ月経っていなくても交換してください。1ヶ月未満で毛先が開いてしまうことが続く場合は、磨く力が強すぎるサインかもしれません。ブラッシングの力のかけ方を見直してみましょう。
歯を磨くベストなタイミング
口腔ケアにおいては、歯磨きのタイミングも重要なポイントです。ここからは、歯磨きに適したタイミングを、理由と合わせて解説します。
起床直後
起きてすぐの歯磨きは、睡眠中に増えた口腔内の細菌を取り除くのに効果的です。
寝ている間は唾液の分泌が減り、細菌が繁殖しやすい状態になっています。朝食前にブラッシングを行うことで、口腔内を清潔に保ち、体内への細菌の侵入や感染も防げます。
朝食前の歯磨きを怠ると、細菌が消化管に送られ、腸内環境の乱れにつながる恐れもあります。そのため、起床後のオーラルケアはとても重要です。
食後30分以内
食後は、食べカスを養分にして虫歯や歯周病の原因菌が増殖しやすい状態になります。そのため、食後30分以内に歯を磨くことで、食べカスを取り除き、菌の繁殖を抑えることができます。
特に、糖分を多く含む食事や間食のあとは、早めのブラッシングが大切です。だらだらと食べ続けるのを避け、食後のケアを習慣化しましょう。出先などですぐにブラッシングができない場合は、うがいをするだけでも虫歯予防につながります。
就寝前
睡眠中は唾液の分泌が減少し、口腔内が乾燥しやすくなるため、細菌が繁殖しやすい環境になります。そのため、寝る前の歯磨きは一日の中でも特に重要です。食べカスや歯垢(プラーク)をしっかり除去することで、虫歯や歯周病のリスクを大きく減らせます。就寝前は時間をかけて丁寧に磨き、歯間ブラシやデンタルフロスや洗口剤やウォーターピックなども併用することをおすすめします。
毎日のケアで将来の歯を守ろう!
虫歯や歯周病を防ぐためには、日々の丁寧なセルフケアが欠かせません。
当院では、予防歯科に積極的に取り組んでおり、位相差顕微鏡を用いた検診を通じて、ご自身の口腔内の細菌を実際に確認できます。ご自身の目で見ることで、日々のケアへの意識が高まるとご好評をいただいております。
また、セルフケアでは落とし切れない汚れを除去するPMTCも実施しております。さらに、お一人ひとりに合った歯ブラシのご提案や、ブラッシング方法・歯肉マッサージ指導も行っています。
虫歯や歯周病になってから治すのではなく、ならないように予防することが大切です。特に歯周病は糖尿病や心疾患と密接に関連していることが知られています。口腔内の健康は全身の健康と深くつながっているため、日々のオーラルケアを見直すことは生活の質(QOL)を高め、健康寿命を延ばすことにもつながります。
歯の健康、そして全身の健康が気になる方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。